Home備忘録ひとつまえにもどる<<>>


チラシの裏 2019年3月


2019年3月31日(日)[知能(16)~K-ABC]

 ずっと調べていたCHC理論ですが、現在はWISC-IVなんかも取り入れているらしく(参照)、主流になっているようです。中でも知られているのが、カウフマン(Alan S. Kaufman,1944.4.?-)とカウフマン(Nadeen L. Kaufman,1945.1.?-)夫妻によるK-ABC(Kaufman Assessment Battery for Children)です。1985年に作成された際はソビエト連邦の心理学者ルリア(Aleksandr Romanovich Luriya,1902.7.16-1977.8.14)の神経心理学モデル(参照)に基づいて作成されたようで、認知心理学あるいは認知神経心理学に基づいて作成されたという扱いらしいです(参照)。2004年に改訂されたKABC-ⅡはCHC理論も取り入れているそうです(参照参照参照)。

 KABC-Ⅱでは認知処理(問題解決に必要な情報処理能力)と基礎学力(獲得された知識・技能)を測定しているそうです。前者は継次処理(継続的情報処理(言語的・数理的能力))と同時処理(同時的情報処理(空間的・直感的能力))を測定できるとの事(参照参照)。日本語版ではそれに学習能力、計画能力の2つを加えた4つを測定するそうです(参照)。CHC理論に基づく後者は視空間能力(visual-spatial abilities:Gv)、短期記憶(short-term memory:Gsm)、 流動性知能/推論(fluidintelligence:Gf)、長期貯蔵と検索(long-term acquisition and retrieval:Glr)、 結晶性知能/知識(crystallizedintelligence:Gc)を測定するそうです(参照)。量的知識(quantitative knowledge:Gq)と読み書き能力(reading and writing skills:Grw)についてはカウフマンは、単に学校教育における到達度評価であって知能ではないと2009年に見解を出しているらしいです(参照)。

 日本版K-ABCは1993年に標準化されたそうで、日本版KABC-Ⅱは2013年に刊行されたそうです(参照)。2歳6か月~16歳までが対象(参照)らしいですが、日本版では18歳11ヶ月まで測定できる(参照)らしいです。

 認知心理学の影響を受け、かつCHC理論に基づいている知能検査としては、認知能力検査(Test of Cognitive Abilities:WJ-COG)も知られているらしいです。ウッドコック(R. W. Woodcock,?-)とジョンソン(M. B. Johnson,?-)がGf-Gc理論に基づいて1977年に作成したそうです(参照参照)。1989年に認知心理学に基づいて改訂されたそうです(参照)が、改訂の過程でCHC理論にもっとも準拠した知能検査を志向して改訂していったらしいです。CHC理論のうち7項目が測定できるそうですが、日本での標準化はされていません(参照)。


2019年3月30日(土)[]

 昨年行われた第一回公認心理師国家試験の問題を遅まきながら解いてみました。結果は恐らく139点。昨年はは138点で合格だった(参照)らしいので喜びかけましたが、今年も同じ問題が出るわけでもなく、当てずっぽうで正解した問題もあり、なんと言ってもギリギリです。喜ぶわけにはいかんと思いました。ただ、合格が不可能ではないと分かったのは良かったです。

 仕事も忙しいし勉強しないといけないしで気ばかり焦って(必要ない文章書いてしまって)いるわけですが、そんな中、立憲民主党の枝野幸夫氏が来福する事になり、会場設営のお手伝いに駆り出されました。久しぶりに知人に会いました。選挙期間になったので、正式な市議候補です。なんとなくそれらしき立ち居振舞いになっていました。まだ当選してはないわけではありますが(^_^;)

 枝野氏の話は、とても分かりやすかったです。実現可能かは別にして、福祉の充実や中間所得層の増加や多様性のある社会作りという政策が経済の浮揚に繋がるという論理構成がきちんとできていました。

 立憲民主党の政党支持率は一桁。支持層を固めると共に、批判層も納得できる話をしないといけません。枝野氏はそれを意識しているように見えましたが、他の人々はどれだけ意識しているのか。支持者の中で自己満足したり自分の主張に酔ったりしてる人もいるのではないかという感想を持ちました。


2019年3月29日(金)[]

 今日も大変らしい仕事について、同世代の上司達聞きました。上司達は承認欲求が満たされている可能性が高く、そもそも難しいらしい仕事をしろと言った人達でしから、前向きな話が聞けるはずです。

 今日は、「大変だよ」ではなく「こうしたらいいよ」とか「楽しいよ」という話が聞けました。

 おためごかし臭いですが、出口のない注意事項よりは良かったです。

 何を聞かされてもやらなきゃいかんのですから、前向きにやろうと思いました。勉強する時間なくなるけど。


2019年3月28日(木)[]

 4月からの大変らしい仕事について、当事者の話を聞きました。

 相変わらず、大変だという話ばかりで気が滅入ります。

 でも、話してる口調は楽しそう。

 そうだ。みんな「大変だね。」とか「すごいね。」と言われたいだけなんだな。


2019年3月27日(水)[]

 4月から、ちょっと難しい仕事が入ります。

 心配してくれる人が多いのですが、大変だと言うだけで聞くだけ気が滅入ります。


2019年3月26日(火)[日の出を見つつ無茶振り仕事に向かう中詠める]

 死ねと放つ

 世界冷たき

 程に美し


2019年3月25日(月)[知能(15)~CHC理論(2)]

 CHC理論(Cattell-Horn-Carroll theory)はキャロル(John Bissell Carroll,1916.6.5-2003.7.1)の三層理論(Three-Stratum Theory of Cognitive Ability)と同様に3層構造らしいのですが、第2層にいくつの因子を含むのかについては諸説あるようです。

 とりあえずは10因子入れるのが一般的なようなので、列挙しておきます。

 まず1つめと2つめは、キャッテル(Raymond B. Cattell, 1905.3.20-1998.2.2)のGf-Gc理論由来の流動性知能(fluidintelligence:Gf)と結晶性知能(crystallizedintelligence:Gc)。

 3つめは「時間をかければ解ける比較的単純な課題を素早く正確に解いていく認知的処理速度に関する能力」で、「数列の中から決められた数字のみを探し出す課題」等で測られる認知的処理速度(cognitive processing speed:Gs)。これは、ホーン(John Leonard Horn,1928.9.7-2006.8.18)の拡張Gf-Gc理論にも出ており、キャロルの三層理論では認知速度(broad cognitive speediness:Gs)と呼ばれているようです。

 4つめは「視覚的パターンや刺激の知覚、分析、貯蔵、検索、捜査、思考に関する能力」で、「曖昧図形や一部欠損図形から元の図形を推測する課題、積木の山から見えない部分を想像してブロックの数を答える課題」で測られる視空間能力(visual-spatial abilities:Gv)。Gvは拡張Gf-Gc理論では視覚的知能(visualintelligence:Gv)と呼ばれ、三層理論では視知覚(broad visual perception:Gv)と呼ばれているようです。

 5つめは、「与えられた情報を数秒間保持し、その後取り出すことに関する能力」で、「電話番号を電話をかけるまで記憶する課題」や「一連の指示内容を保持させ、課題を遂行させる課題」で測られる短期記憶(short-term memory:Gsm)。Gsmは拡張Gf-Gc理論では短期の習得と検索(short-termacquisition and retrieval:Gsm)と呼ばれ、三層理論には含まれないようです。

 6つめは、「保持した情報を長期記憶から取り出すことに関する能力」で、「判じ物などの学習課題を10分程度行った後、一定の間隔を置いて再度課題を行」う事によって測られる長期貯蔵と検索(long-term acquisition and retrieval:Glr)。Glrは拡張Gf-Gc理論では長期の貯蔵と検索(long-termstorage and retrieval:Glr)と呼ばれ、三層理論には含まれないようです。一定の間隔というのは知能検査によって異なり、30分~8日とかなり差があるようです。

 7つめは、「聴覚適刺激の知覚、分析、統合や、音パターンの中のかすかな差異の検出に関する能力」で、「単語から一部の音素を取り除いた音を聞かせ、元の単語を同定させる課題」によって測られる聴覚的処理(auditory processing:Ga)。Gaは拡張Gf-Gc理論では聴覚的知能 (auditoryintel1igence:Ga)と呼ばれ、三層理論には含まれないようです。

 8つめは、「刺激に対する反応や、決定の素早さに関する能力」で、「単純反応時間、選択反応時間、意味処理速度」等で測られる決断/反応速度(decision/reaction time or speed:Gt)。Gtは拡張Gf-Gc理論では反応時間/決定速度(correctdecision speed:CDSまたはGt)と呼ばれ、三層理論では情報処理速度(processing speed:Gt)と呼ばれているようです。

 9つめは、「量的情報や、数的表象の操作に関する能力」で、数学の能力であるとされる量的知識(quantitative knowledge:Gq)。Gqは拡張Gf-Gc理論では量的知識(quantitativeknowledge:Gq)と呼ばれ、三層理論では含まれないようです。

 最後は「書き言葉の基本的な読み、読みの流暢性、筆記による意見表出などに関する能力」で、綴りに関する知識等で測られる読み書き能力(reading and writing skills:Grw)。Grwは拡張Gf-Gc理論では読み書き能力(readingand writing skills: Grw)と呼ばれ、三層理論には含まれないようです(参照)。

 ちなみに三層理論に含まれていてここに挙げられたCHC理論に含まれないのが、一般的記憶と学習(general memory and learning:Gy)、聴知覚(broad auditory perception:Gu)、記憶想起力(broad retrieval ability:Gr)の3つ。それじゃあCH理論(Cattell-Horn theory)じゃないのと思ってしまいますが、CHC理論らしいです。世の中謎だらけです。まあ、三層だからということなのでしょうが。

 諸説あると最初に書きましたが、例えばマクグルー(Kevin S. McGrew,-)は16因子挙げているようです。具体的には上記10因子の他に、一般知識((domain-specific) knowledge:Gkn)、触覚能力(tactile abilities:Gh)、運動感覚能力(kinesthetic abilities:Gk)、嗅覚能力(olfactory abilities:Go)、心理運動能力(psychomotor abilities:Gp)、心理運動速度(psychomotor speed:Gps)を加えている(参照)らしいです。


2019年3月24日(日)[自己選択の自己責任]

 A、B、Cの3つの選択肢があり、周囲にとってAが最適でCは避けて欲しいとします。

 そんな時、Aの説明だけしてAを選択したとして、自己責任を問うのはおかしいのではないかと思います。


2019年3月23日(土)[カラオケ]

 カラオケに行きました。久しぶりと言いたい所ですが、年末にも行ってました。行った相手は年末と同じく町内会の人達。

 町内会の人達は同世代が多く、歌う曲を考えなくていいのは楽です。その分被りやすいので、早いとこキャラを確立しないといけないですね。

 同時に、他の世代とカラオケに行く際は色々考えないといけないのだなと感じました。

 一番驚いたのは、カラオケ屋さんが大盛況だったこと。週末だからとか春休みだからとかではなく、最近は毎日お客さんが多いそうです。


2019年3月22日(金)[イートインコーナーにて]

 遅番や残業の後、簡単な事務作業や勉強のためにイートインコーナーを使うことがあります。よく使う24時間スーパーに行くと、4月からは午後9時から午前9時まで使用できなくなると掲示されていました。

 先日久しぶりに行くと、使用上の注意がやたら掲示されていたのでおかしいなと思っていたのですが。確かにスマホの動画視聴がうるさい人や、全財産を段ボールに入れて持ち運んでそうな人もいました。

 顧客の意見カードコーナーを見ると、3月上旬に3日連続で常連客に関する苦情が掲示されていました。どうやらこの苦情を受けて規則が厳しくなり、使用時間も制限されるようになったようです。

 しかし、投書は非常に排他的な書き方でした。それら常連の高齢者達は(根拠なく)不衛生だと書かれており、呼び方も酷かったです。このような意見が通ってしまう事に恐怖を覚えました。


2019年3月21日(木)[支配欲求と承認欲求]

 他人に奉仕をすると、支配欲求と承認欲求が満たされます。奉仕する事で相手の行動を誘導できますし、奉仕する事で感謝される可能性があるからです。

 従って、障害者福祉の現場でも、支配欲求か承認欲求が強い人が少なからず見受けられます。僕は多分、好奇心優位で承認欲求持ちなのでしょう。多くの人はどちらも持っているのでしょうが、どちらかというと承認欲求優位の人の方が多いように思えます。

 他にも色々職業があるのに、なぜか支配欲求優位の方がいらっしゃいます。警察官とか教員とかになればいいのに。支配したいがために支配する能力に長け、利用者さんを意のままに動かします。承認欲求優位の同僚もある程度従うでしょう。

 それは結局PM理論のP(パフォーマンス)型リーダーシップにも見えるので、パワープレイしとるだけとかパワハラとか揶揄されながら昇格したりします。


2019年3月20日(水)[知能(14)~CHC理論(1)]

 キャッテル(Raymond B. Cattell, 1905.3.20-1998.2.2)の流動性知能(fluidintelligence:Gf)と結晶性知能(crystallizedintelligence:Gc)、ホーン(John Leonard Horn,1928.9.7-2006.8.18)の拡張Gf-Gc理論、キャロル(John Bissell Carroll,1916.6.5-2003.7.1)の三層理論(Three-Stratum Theory of Cognitive Ability)は、現在CHC理論(Cattell-Horn-Carroll theory)として統合されているようです。

 ホーンは知能因子は同格であるという考え方であり、知能の階層性や一般因子(g因子:general factor)の存在に懐疑的でした。一方で広汎な能力因子に焦点を当てた点はキャロルと共通性があり、1990年代半ばから統合されてきているとの事です(参照)。

 しかし、ある一人がそう主張しているというわけではなく複数が主張しているようで、マクグルー(Kevin S. McGrew,-)等が例に挙がっていました。従って細かい所にはまだ差異があるようで、例えば「階層構造の最上部に第3層として、一般因子gを置くかどうかについてはまだ議論がある(参照)」そうです。

 しかし、これって、Horn-Carroll theoryですよね。キャッテル入れるなら、一般因子を言い出したスピアマン(Charles Edward Spearman,1863.9.10-1945.9.17)や、キャッテルが影響を受けたという多因子説のサーストン(Louis Leon Thurstone, 1887.5.29-1955.9.30)なんかは入らないのでしょうかね。言い出すとキリがないですけど。


2019年3月19日(火)[知能(13)~三層理論]

 今日はキャロル(John Bissell Carroll,1916.6.5-2003.7.1)の三層理論(Three-Stratum Theory of Cognitive Ability)について調べてみます。キャロルは知能は階層的であると考えて階層説を発展させて三層説をとった(参照参照)そうです。

 キャロルは1993年に知能構造に関する研究を概観して、因子分析法によりメタ分析を行いました。具体的には1927年以降の60年間に世界中で発表された2000以上の研究を用いて、その中から相関行列が利用できる事などの基準を充たした460以上の知能検査の結果を分析しました(参照参照参照)

 再分析の結果、キャロルは2005年に知能が3つの階層構造をなすことを発見しましたようです。この3層モデルは恣意的な仮定をせずに純粋に先行研究のデータに基づいて得られたモデルなのだそうです(参照参照参照)。

 この3層モデルですが、第1層目には小群因子にあたる69項目の特殊な能力因子があり、第2層目にはホーン(John Leonard Horn,1928.9.7-2006.8.18)の拡張Gf-Gc理論の10項目に近い大群因子にあたる8つの広汎な知能因子があり、第3層目にはスピアマン(Charles Edward Spearman,1863.9.10-1945.9.17)と同様に一般知能因子g(general factor)があるとされています。第2層目の因子として、流動性知能(fluidintelligence:Gf)、結晶性知能(crystallizedintelligence:Gc)、一般的記憶と学習(general memory and learning:Gy)、視知覚(broad visual perception:Gv)、聴知覚(broad auditory perception:Gu)、記憶想起力(broad retrieval ability:Gr)、認知速度(broad cognitive speediness:Gs)、情報処理速度(processing speed:Gt)が挙げられています(参照参照参照)。


2019年3月18日(月)[知能(12)~拡張Gf-Gc理論]

 キャッテル(Raymond B. Cattell, 1905.3.20-1998.2.2)の弟子であるホーン(John Leonard Horn,1928.9.7-2006.8.18)は、キャッテルのGf-Gc理論を拡張して拡張Gf-Gc理論を唱えました。ただし、ホーンは知能は同格の多数の因子から成ると考えていて、一般知能因子には懐疑的だったそうです(参照)。

 ホーンは博士論文の時点で、自らの研究成果がキャッテルの流動性知能(fluidintelligence:Gf)と結晶性知能(crystallizedintelligence:Gc)の2つの因子よりも多くの因子を支持していると考えていたそうです。そこで、その後にまず視覚的知能(visualintelligence:Gv)、短期の習得と検索(short-termacquisition and retrieval:Gsm)、長期の貯蔵と検索(long-termstorage and retrieval:Glr)、認知的処理速度(cognitiveprocessing speed:Gs)の4つの因子を追加します(参照参照)。

 その後、ホーンは反応時間/決定速度(correctdecision speed:CDSまたはGt)、量的知識(quantitativeknowledge:Gq)、読み書き能力(readingand writing skills: Grw)、聴覚的知能 (auditoryintel1igence:Ga)も加えたそうです(参照参照参照)。

 Gf-Gc理論の因子に8因子を加えたホーンのこの理論を、拡張Gf-Gc理論と呼んでいます。名前こそGf-Gc理論を継承しているのですが、ホーンは10因子はそれぞれ同格で階層的な関係はないと考えていたそうです。従って、一般知能因子gの存在には否定的だったようです(参照参照)。


2019年3月17日(日)[知能(11)~Gf-Gc理論]

 知能の二因子説を唱えたスピアマン(Charles Edward Spearman,1863.9.10-1945.9.17)の弟子で認知能力に関する研究を行っていたキャッテル(Raymond B. Cattell, 1905.3.20-1998.2.2)は、一般因子(g因子:general factor)を流動性知能(fluidintelligence:Gf)と結晶性知能(crystallizedintelligence:Gc)に分解した流動性-結晶性(Gf-Gc)知能理論を1943年と1963年に唱えました(参照)。

 知能を構成している要素を因子分析によって抽出したものを知能因子といいます。師匠のスピアマンは知能の二因子説を唱え、アメリカのサーストン(Louis Leon Thurstone, 1887.5.29-1955.9.30)は1938年に7因子の多因子説を唱え(参照参照)、他には階層群因子説等もあるようです。スピアマンとサーストンは1940年代に一般因子gをめぐって論争をしていたそうです。キャッテルはサーストンの多因子説に賛成しながら、因子分析の結果多因子から構成される知能構造が流動性知能と結晶性知能という2つの共通因子によって単純化できると主張しました。これが前述のGf-Gc理論です(参照参照)。

 流動性知能は、新しい場面への適応を必要とする際に働く能力だという事です。脳髄ないし個体の生理的成熟に密接に関係しているそうです。具体的には、記憶・計算・図形・推理など空間能力、速度に関係する知能なのだそうです。文化や教育の影響を比較的受けにくいとされていて、能力のピークは10代後半~20代前半に現れるため、老化にともなう能力の衰退が顕著なのだそうです(参照参照)。

 もう一方の結晶性知能は、経験の結果が結晶化されたものを指すそうです。過去の学習経験を高度に適用して得られた判断力や習慣を指します。流動性知能を基盤とするものの、文化や教育、経験の機会など環境因子、文化因子により強く影響されると考えられています。具体的には言語能力や知識に関する知能であり、能力のピークに達する時期が遅く、老化による衰退が緩やかであるとされています(参照参照)。


2019年3月16日(土)[知能(10)~多因子説]

 1904年に知能の二因子説を唱えたスピアマン(Charles Edward Spearman,1863.9.10-1945.9.17)に対して、アメリカのサーストン(Louis Leon Thurstone, 1887.5.29-1955.9.30)は1938年に多因子説(multiple factor theory)を唱え(参照参照参照)ました。スピアマンとサーストンは1940年代に一般因子gをめぐって論争をしていたそうです(参照)。

 スピアマンは「33人の生徒に古典,英語,数学などの6種のテストを行った得点のデータから,一つのテストで高得点をとれば他のテストでもよい成績をあげるという相関構造を観察して,各テストの得点は知力とも名づくべき因子(共通因子)とテストごとに固有の因子(特殊因子)の結合によって生じるとした(1904)(参照)」そうで、サーストンは「精神的能力は複数個の独立な共通因子と特殊因子によって説明されるという一般的因子モデルを提唱した(参照)」との事です。

 サーストンは数、語の流暢さ、言語理解、記憶、推理、空間、知覚的速さの7つの特殊因子があるとして、それらが知能の基本的能力であると考えました。そして、一般因子はそれら7つの特殊因子から抽出された二次的因子であると主張したようです(参照)。

 矢田部ギルフォード性格検査(YG性格検査)でお馴染み(参照)のギルフォード(Joy Paul Guilford,1897.3.7-1987.11.26)は1956年に内容、操作、所産という三次元の理論模型から知能因子を仮定しました。その因子数は内容4種類、操作5種類、所産6種類実に120種類。この知性構造論(Structure of Intelligence)も多因子説に含まれるそうです(参照参照参照)。


2019年3月15日(金)[知能(9)~知能の二因子説]

 ウェクスラー(David Wechsler,1896.1.12-1981.5.2)の師の一人であるスピアマン(Charles Edward Spearman,1863.9.10-1945.9.17)は、因子分析の開拓者とも呼ばれているそうです。ヴント(Wilhelm Max Wundt,1832.8.16-1920.8.31)に学び、ダーウィン(Charles Robert Darwin,1809.2.12-1882.4.19)の従兄弟で近代統計学の父と呼ばれるゴルトン(Sir Francis Galton,1822.2.16-1911.1.17) の影響で統計学を用いた研究を行ったらしいです。

 スピアマンが1904年に唱えたのが、知能の二因子説(two-factor theory of intelligence)です。これは、読んで字の如く知能が二つの因子に分かれるとする説です。具体的にはすべての知的活動に共通に働く一般因子(g因子:general factor)と、個々の知的活動のみに特有な特殊因子(s因子:specific factor)に分かれるとするものです(参照)。ちなみに知能検査で測っているのはg因子の部分です(参照参照)。


2019年3月14日(木)[知能(8)~ウェクスラー(4)]

 先週からきついので少しずつ進めていますが、とりあえずウェクスラーは今日で止めないとなと思います。

 昨日出た検査知能指数(full scale Intelligence Quotient:FSIQ)も言語理解指標(Verbal Comprehension Index:VCI)、視覚空間認識指標(Visual Spatial Index:VSI)、流動性推理指標(Fluid Reasoning Index:FRI)、ワーキングメモリ指標(Working Memory Index:WMI)、処理速度指標(Processing Speed Index:PSI)というWISC-Vの5つの指標値(参照)もすべて知能偏差指数(DIQ:Deviation Intelligence Quotient)だそうです(参照)。

 偏差知能指数とは、集団の平均を100としてそこからどの程度異なるかを示した値です。具体的には、100+15×(各個人の点数-同年齢集団の平均点)÷同年齢集団の標準偏差 で計算するようです(参照)。

 ウェクスラー式知能検査のセットには手引き書が付いており、きちんと読めば測定はさほど難しくありません。ただ、「診断的検査」と呼ばれる通り得点を出すことは出来てもきちんと診断するのは難しいと思います(参照参照)。てか、僕は出来ていませんでした。反省。


2019年3月13日(水)[知能(7)~ウェクスラー(3)]

 で、ウェクスラー式知能検査はどんなものかまとめようと思ったのですが、僕は15年ほど前にやったっきりで、当時はWISC-Rでした。

 当時は検査知能指数(full scale Intelligence Quotient:FIQ)の他に言語性検査IQ(verbal Intelligence Quotient:VIQ)と動作性検査IQ(performance Intelligence Quotient:PIQ)が出ていましたが、1991年改訂のWISC-IIIから言語理解指標(Verbal Comprehension Index:VCI)、知覚統合指標(Perceptual Organization Index:POI)、注意記憶指標(Freedom from Distractibility Index:FDI)、処理速度指標(Processing Speed Index:PSI)の4つの一次指標が加わったそうです。

 2003年に改訂されたWISC-IVになると、言語性検査IQ(VIQ)と動作性検査IQ(PIQ)は姿を消し、注意記憶指標(FDI)はワーキングメモリ指標(Working Memory Index:WMI)に名前を変え、知覚統合指標(POI)は処理速度指標(Processing Speed Index:PSI)に名前を変えたそうです。結果として、言語理解指標(VCI)、知覚推理指標(Perceptual Reasoning Index:PRI)、ワーキングメモリ指標(WMI)、処理速度指標(PSI)の4つの指標になったとWikipediaには書かれています(参照)がなんかおかしいです(^_^;)

 ちなみに言語性IQは、「学習や教育によって確立された判断や習慣に関連がある知能。結晶性知能にも関連(参照)」らしく、動作性IQは「新しい状況に柔軟に体操る能力に関連が深い知能。流動性知能にも関連(参照)」なのだそうです。結晶性知能(crystalized intelligence)とは、生涯を通じて経験の積み重ねで獲得していくもので、意図的な学習過程と関連した知的能力のレベルだとされています。語彙力と社会的知識・スキルを測る言語的なテストで測定し、かなりの高齢まで伸びるとされています。もう一方の流動性知能(fluid intelligence)とは、神経系の機能のもとで決定される能力であり、情報処理の速さを表すようです。スピードと関連した非言語的なテストで測定し、成人に達する前後がピークになります。これは、ウェクスラーと同じくスピアマン(Charles Edward Spearman,1863.9.10-1945.9.17)の弟子であるキャッテル(Raymond B. Cattell, 1905.3.20-1998.2.2)のGf-Gc理論に基づくもので、後でまとめようと思います。


2019年3月12日(火)[知能(6)~ウェクスラー(2)]

 ウェクスラーは、ニューヨークのベルビュー病院精神科での経験から、1939年にウェクスラー‐ベルビュー知能尺度を作成しました。これは10歳から60歳までを対象に知能を診断的にとらえる成人用検査で、偏差知能指数(DIQ:Deviation Intelligence Quotient)が初めて採用されました。1955年にこの検査は改訂され、16歳から60歳までを対象にしたウェクスラー成人知能検査(Wechsler Adult Intelligence Scale:WAIS)になりました。WAISは1981年にWAIS-Rとして改訂され、対象年齢が64歳まで拡大されました。その後WAIS-IIIになり、2008年にはWAIS-IVとして改訂されています。

 1949年には5歳から15歳までを対象とする児童用ウェクスラー知能検査(Wechsler Intelligence Scale for Children:WISC)が作成されました。WISCは1974年にWISC-R、1991年にWISC-III、2003年にはWISC-IVと改訂され、現行はWISC-Vのようです。

 1963年には4歳から6歳半までを対象とする就学前ウェクスラー知能検査(Wechsler Preschool and Primary Scale of Intelligence:WPPSI)が作成されました。WPPSIは1989年にWPPSI-R、2002年にWPPSI-IIIと改訂され、現行はWPPSI-IVのようです(参照参照参照参照)。


2019年3月11日(月)[知能(5)~ウェクスラー(1)]

 ビネー(Alfred Binet,?1857.7.8-1911.10.18)を紹介した後寄り道していましたが、今回はウェクスラー(David Wechsler,1896.1.12-1981.5.2)を調べてみます。

 ウェクスラーはルーマニア生まれ。幼少期にアメリカに渡り、ニューヨーク市立大学を卒業。その後コロンビア大学で試行錯誤学習のソーンダイク(Edward L. Thorndike, 1874.8.31-1949.8.9)やジェームズ・キャッテル(James McKeen Cattell,1860.5.25-1944.1.20)に学び、1917年に修士号、1925年に博士号を取得しました(参照)。

 さて1912年にオーティス(A. S. Otis,?-?)が初の集団式知能検査を開発しました。そのオーティスの原案を元に、動物心理学者のヤーキーズ(Robert Mearns Yerkes, 1876.5.26-1956.2.3)は、1916年にスタンフォード・ビネー知能検査を作ったターマン(Lewis Madison Terman,1877.1.15-1956.12.21)と共に1917年もしくは1918年に陸軍用の知能検査である陸軍A式検査と陸軍B式検査を開発しました(参照参照参照参照)。ウェクスラーはこの開発にも従事したようです(参照)。

 その後ウェクスラーはロンドン大学に移り、因子分析の開拓者で知能二因子説を唱えたスピアマン(Charles Edward Spearman,1863.9.10-1945.9.17)やその弟子のピアソン(Karl Pearson, 1857.3.27-1936.4.27)の元で研究したのだそうです(参照)。


2019年3月10日(日)[ファクトチェック]

 頭痛が止まないので笑おうと「年上の兄」という江戸小噺を探していたのですが、見つからず国民性ジョークのサイトに紛れ込んでしまいました。そこで目についたのが、カナダ当局とアメリカ艦船との無線交信ジョークです(参照の57)。米海軍の艦隊とカナダ当局とがお互い進路を譲れと無線でやりあって、カナダ側が灯台で譲りようがないというオチのものです。

 このジョークは実話だと紹介してるサイトもあります(参照)が、昔からあるジョークらしい(参照)です。ただ、米海軍の艦船が地元当局の警告を無視して座礁した事はあるようで(参照)、だからこそ長く語られるジョークなのでしょう。

 同様に気になったのが、バーバラ・ブッシュ(Barbara Pierce Bush, 1925.6.8-2018.4.17)さんの回顧録によるというジョーク。訪日した際にパパブッシュ(George Herbert Walker Bush, 1924.6.12-2018.11.30)と副大統領と共に皇居で昭和天皇との昼食会に出席した際の話だそうですが、古い宮殿は壊れたのかというバーバラさんの問いに、昭和天皇が微笑しながら「あなた方が爆撃してしまいましたので」と答えた(参照の64)というもの。

 迎賓館赤坂離宮は1909(明治42)年竣工で戦災に遭った記録はない(参照)ようですが、皇居の宮殿の竣工は1968(昭和43)年11月14日(参照)で、明治宮殿は1945(昭和20)年5月25日の空襲で全焼(参照)しているようなので、確かに一致します。しかし、バーバラさんが初来日したのは1989年2月24日に行われた大喪の礼(昭和天皇の葬儀)のようで(参照)、昭和天皇とジョークの応酬ができそうな気がしません。1992(平成4)年にも来日しており、その際宮中晩餐会に出られているようです(参照)から、今上天皇とのやり取りであれば可能性はあります。また、パパブッシュが副大統領在職時の1983(昭和58)年にもレーガン(Ronald Wilson Reagan, 1911.2.6-2004.6.5)大統領が来日して宮中晩餐会に出ているっぽい(参照)ですが、パパブッシュやバーバラさんが出たのかは不明です。まあ、事実ではないのでしょうねとか調べてるから頭痛が治らないのでしょうな。ただ笑えよ。


2019年3月9日(土)[知能(4)~ピアジェ(3)]

 「20世紀において最も影響力の大きかった心理学者の一人」であるピアジェ(Jean Piaget, 1896.8.9-1980.9.16)ですが、100年程前の理論ではあるので、現在では異論もあります。乳幼児期の認知機能は過小評価されていて、思春期・青年期の認知機能は過大評価されているとされているそうです。

 そんな中、同時代にピアジェに異論を唱えた心理学者のうち最も有名なのが、ソ連(当時)の心理学者ヴィゴツキー(Lev Semenovich Vygotsky,1896.11.17-1934.6.11)でしょう。ヴィゴツキーは発達の最近接領域(Zone of Proximal Development:ZPD)というものを提唱した事で知られています。ZPDとは、援助やヒントを与えた結果(他人との協同の結果)による発達水準と現下の発達水準との間の領域の事だそうです。伸びしろという事でしょうか。教育による働きかけはこの領域に向けてこそ有効であるとヴィゴツキーは唱えました(参照)。

 大人との相互作用より、子ども同士の相互作用をピアジェは重視したそうです。対話によって自分と違う考え方に接する事で認知的な葛藤が生じ、その解決をする中で認知機能が発達するとピアジェは考えたそうです。ピアジェの説によれば、相互作用は発達のきっかけに過ぎません。作っていくのは、飽くまで子ども自身です。

 大人等から新しい知識がもたらされ子どもが新しい情報を得て認知水準を高めるのが、ヴィゴツキーによる相互作用です。大人から適切な足場かけ(scaffolding)をしてもらい、最初は誰かとではないと出来ないことが一人で出来るようになるという流れらしいです。子どもが自身で知識を作り上げていくというピアジェとは違う立場だと言えるでしょう(参照)。また、内言(internal speech)と外言(outer speech)との関係についても二人は逆で、ピアジェは内言が外言に発達していくと考え、ヴィゴツキーは外言が内言に発達していくと考えました。こちらはヴィゴツキーに軍配が上がっているようです(参照)。ヴィゴツキーは、「唯物弁証法を土台として全く新しい心理学体系を構築し、当時支配的であった既存の心理学(ジークムント・フロイトの精神分析学・ゲシュタルト心理学・行動主義心理学・人格主義心理学など)を鋭く批判した(参照)」そうです。ソビエトで地位を確立したヴィゴツキーと、児童中心主義の流れの中にいるピアジェでは考え方が違うのも致し方ないのでしょう。


2019年3月8日(金)[慢性疲労]

 寝たら起きられない感じがしていたが、やはり起きられなかった。

 目が覚めてもきつかったが、穴を開けた以上甘えは許されず、別の穴を埋めて残業。

 公認心理師現任者講習会以降仕事に張りはできたが、良くない事ばかり起きるし、なぜか疲れている。


2019年3月7日(木)[疲労困憊]

 怒っている人の話を聴いていると、泣き出した。

 怒りの背後に辛さがある場合もある。


2019年3月6日(水)[疾風怒濤]

 今日は考えまい。

 そんな折、普段は苦手な人が有難い。

 僕の代わりにしゃべってくれる(^_^;)


2019年3月5日(火)[知能(3)~ピアジェ(2)]

 第一の感覚運動的段階(sensorimotor stage)は、表象的思考(representative thinking)を持っておらず、感覚と運動が表象を介さずに直接結び付いている段階だそうです。表象的思考とは、物事をイメージで思い描く思考で、物事を見立てる思考です(参照)。細かく5段階に分けられ、感覚運動期第I段階(0~1ヶ月)では生得的な反射で外界に反応します。感覚運動期第II段階(1~3ヶ月)から循環反応(circular response)と呼ばれる繰り返し行動が始まり、ここでは自身の身体に限った第1次循環反応が起こります。感覚運動期第III段階(3~8ヶ月)では物を使った偶発的な対象操作である第2次循環反応が現れ、対象操作の結果どのように外界が動くかを把握するようになるとされています。感覚運動期第IV段階(8~12ヶ月)になると、何かしたい時にそれをするための行為を手段として想定できる目的-手段関係を理解して使用できるようになります。また、物を隠してもその物は存在しているという対象の永続性(object permanence)が獲得されます。感覚運動期第V段階(12~18ヶ月)では色々バリエーションを変える第3次循環反応が現れます。この事によって、手段を変化させることによって結果の違いを調べているのだとされているようです。また、感覚運動期には模倣行動(imitative behavior)も発達します。

 第二から第四段階は表象的思考をもつ表象的思考段階に含まれます。第二段階は自己中心性(egocentrism)を特徴とする前操作的(自己中心的)段階(pre-operational stage)です。目立つ部分にだけ注意が行く中心化(centration)や、自分の物の見方を絶対視する実念論(realism)や、非生物にも命や感情を見出だすアニミズム(animism)や、自然物も人間が作ったと思う人工論(artificialism)等も特徴だそうです。その前操作的段階は、象徴的思考段階(symbolic function substage)(1歳6ヶ月~2歳)と直感的思考段階(intuitive thought substage)(4歳)に分けられます。象徴的思考段階ではイメージを保存して後で想起して使う事が出来るようになり、直観的思考期では体験した事のない状況を理性を用いて説明出来るようになるそうです。

 第三、第四段階は自己の視点を離れられる操作的段階に含まれます。操作(operation)とは行為が内在化されたものです。第三段階を具体的思考段階(concrete operational stage)(7~8歳)と呼びます。この段階では保存(conservation)の概念が獲得されます。つまり、形が変わっても量は変わらないということが理解できるようになります。可逆的操作も行えるようになり、具体的なものに関しては論理的思考が出来るようになるそうです。

 第四段階は形式的操作段階(formal operational stage)(11~12歳)。形式的抽象的操作が可能になり仮説演繹的思考ができるようになり、抽象的なものや仮定についても考えられるようになるそうです(参照参照参照参照参照)。


2019年3月4日(月)[知能(2)~ピアジェ(1)]

 1920年からビネー(Alfred Binet,?1857.7.8-1911.10.18)の知能検査作りに参加し、正答率より間違い方のプロセスに着目し、論理構造の発達的変化を研究したのが、スイスの心理学者ピアジェ(Jean Piaget, 1896.8.9-1980.9.16)です。検索すると時計メーカーや中洲のスナックに埋もれていますが、Wikipedia認定の「20世紀において最も影響力の大きかった心理学者の一人」だそうです。担当教官がピアジェ専門だったために僕はピアジェの講義を2、3回受けました。それでも忘れているのが、人生の儚さなのでしょうが。

 彼は1921年以降ジュネーブのジャン・ジャック・ルソー研究所等で児童の認知発達分野の研究を続けます。彼は自身のジャクリーヌ(1925年1月生まれ)、ルシアンヌ(1927年6月生まれ)、ローラン(1931年5月生まれ)という3人の子ども達の言語反応等の観察を通じて(臨床法)、認知発達理論(思考発達段階説)を作って行きました(参照)。初期には自己中心性(egocentrism)等の子どもの思考の特質を研究し(参照)、中期には乳児期からの知能や思考の発達過程を分析したのだそうです(参照)。

 ピアジェは、子ども達が外界とやり取りしながら、認知的な枠組であるシェマ(スキーマ(schema))に新しいものを取り入れたり(同化(assimilation))、修正したり(調整(accomodation))する事を繰り返してより高い段階で安定したものにしていっている(均衡化(equilibration))と考えました(参照)。彼は、認知発達(cognitive development)を4段階に分けて考えました。

 4段階とは、感覚運動的段階(sensorimotor stage)、前操作的(自己中心的)段階(pre-operational stage)、具体的思考段階(concrete operational stage)、形式的操作段階(formal operational stage)ですが、(中洲の店がスナックであると調べたりしているうちに)長くなったのでまた次回にしたいと思います。


2019年3月3日(日)[ロゴセラピー(2)]

 仮に意味を追い求めるのを止めた事で僕が調子を崩したのであれば、僕はどうすれば良かったのでしょうか。フランクルが創始したロゴセラピーのロゴとはギリシャ語で意味という意味。「その生活状況の中で生きる意味を充実させることが出来るよう」または「その価値の評価の仕方を変えることが出来るよう」援助するものらしいです(参照)。

 フランクルは、「人間は様々な条件、状況の中で自らの意志で態度を決める自由を持っている」という意志の自由と、「人間は生きる意味を強く求める」という意味への意志と、「それぞれの人間の人生には独自の意味が存在している」という人生の意味という三つを主張したそうです(参照)。そのような中で、ロゴセラピーが採っている技法を二つWikipediaから丸写ししておきます。

 患者が何かを恐れて不安を感じる事で、予期している事態を実現させているとロゴセラピーでは仮定しているそうです。その不安を予期不安と呼び、不安が実現した事で不安がますます強化され、神経症になるというのがロゴセラピーの考え方のようです。ロゴセラピーの技法である逆説志向は、恐れている事態を患者が望み、それを実行しようと患者が決断する事のようです。これを実践する際にはユーモアが大切なのだそうです。ユーモアが自己や現状から距離を置く性質がある(自己距離化)からだそうです。しかもこれは短期間で行え、効果は永続的なのだとか(参照)。マジかそれは。

 また、もう一つの技法が反省除去というものらしいです。これは、活動に専念しろという事らしいです。そもそも人の創造性や決断は普段は根源的には無意識で行われるもので、過剰に反省するから神経症になるのだというのがフランクルの考え方のようです。そこで、過剰に反省せずに活動に専念しろという技法になっているようです(参照)。いやそれは僕にはかなり難しいし(^_^;)


2019年3月2日(土)[ロゴセラピー(1)]

 ここのところ、イレギュラーな仕事が多いです。ただでさえ掛け持ちはきついと思っているのですが、予定が急に変わるとそれが増す気がします。それは結局、僕の職場に余裕がないからでしょう。そんな移動中、急にフランクル(Viktor Emil Frankl,1905.3.26-1997.9.2)の言葉が実感をもって捉えられました。フランクルはオーストリアの精神科医で、「人が自らの『生の意味』を見出すことを援助することで心の病を癒す心理療法(参照)」であるロゴセラピー(Logotherapy:意味中心療法、実存分析)の創始者ですが、一般的には強制収容所から生還したユダヤ人心理学者として知られています。

 彼は、「人間は、生きる意味を求めて問いを発するのではなく、人生からの問いに答えなくてはならない。」と著書に書いた事で知られています(参照)。え?さっき、「自らの『生の意味』を見出すことを援助することで心の病を癒す」って言ってたよね?どうして問うてはいけないの?ってのが、僕の疑問でした。しかし最近、また勉強しなおして、朧気ながら意味を掴みかけてきました。

 ここで必要なのは生命の意味についての問いの観点変更なのである。すなわち人生から何をわれわれはまだ期待できるかが問題なのではなくて、むしろ人生が何をわれわれから期待しているかが問題なのである。そのことをわれわれは学ばねばならず、また絶望している人間に教えなければならないのである。哲学的に誇張して言えば、ここではコペルニクス的転回が問題なのであると云えよう。すなわちわれわれが人生の意味を問うのではなくて、われわれ自身が問われた者として体験されるのである。人生はわれわれに毎日毎時問いを提出し、われわれはその問いに、詮索や口先ではなくて、正しい行為によって応答しなければならないのである。人生というのは結局、人生の意味の問題に正しく答えること、人生が各人に課する使命を果たすこと、日々の務めを行うことに対する責任を担うことに他ならないのである。(V.E.フランクル 霜山徳爾 夜と霧-ドイツ強制収容所の体験記録)

 彼の主著である夜と霧からの引用ですが、手元に本がないのでネットのものから孫引きしています(参照)。これをちゃんと読むと、単に問うなという事ではなく「人生の意味の問題に正しく答えること、人生が各人に課する使命を果たすこと、日々の務めを行うことに対する責任を担うこと」が必要だと言っているのでしょう。フランクルは人を生きる意味を求める存在だと(意味への意思)捉え、その意味を満たされない事が精神疾患に繋がると考えていたようです。意味を見出す価値には3つのカテゴリーがあるとフランクルは考えました。一つ目は仕事や趣味や日々の活動に含まれる創造価値(Schopferische werte)。二つ目は自然や芸術の鑑賞等に含まれる体験価値(Erlebnis werte)。三つ目は意味を求め続けようとする態度価値(Einstellungs werte)です(参照参照)。僕が3年前に精神的に調子を崩したのは、意味を追い求める事を止めてしまったからではないかと気付いたのです。


2019年3月1日(金)[知能(1)~ビネーとその系譜]

 知能とは何か?それは知能検査で測るものである。では知能検査とは何か?それは知能を測るものである。そんなわけのわからん事を何処かで読んだか聞いたかした事があります。そんな知能検査を初めて作ったのが、フランスの心理学者ビネー(Alfred Binet,?1857.7.8-1911.10.18)。元々は文部大臣の依頼で学校教育についていけない子どもの判別をするために、医師のシモン(Theodore Simon,1873.7.10-1961.9.4)と共に1905年に作ったそうです(参照)。そのビネー・シモン知能尺度の系譜は受け継がれ、日本でも田中びねー式知能検査として現在でも使われています(参照)。

 ビネーらはその年齢の50%~75%が正答できる問題を年齢毎に作り、解答できればその年齢の「知的水準(精神年齢)」に達していると判断しました(精神年齢の概念は1908年の改訂版より)。その後、1912年にドイツのシュテルン(William Stern,1871.4.29-1938.3.27)が「知能指数」と「知能年齢」という指標を心理学会で提唱しました。そしてビネー・シモン知能尺度を1916年に改訂してスタンフォード・ビネー知能検査を作ったアメリカのターマン(Lewis Madison Terman,1877.1.15-1956.12.21)がシュテルンの知能指数による表示方法を採用しました(参照参照参照)。

 そういうわけで、ビネー式知能検査は知能を知能指数(IQ:Intelligence Quotient)で表現します。ここでの知能指数は、実年齢に対する知能の発達の割合の事です。式としては知能指数(IQ)=精神年齢(MA:Mental Age)÷生活年齢(CA:Chronilogical Age)×100となります(参照)。

 元々、知的障害の判別のために作られた知能検査ですが、現在でも知能指数50~70は軽度知的障害、35~50は中度知的障害、20~35は重度知的障害、20未満は最重度知的障害とされています(参照)。しかし、浅学菲才な僕は言語を使わない知能検査を知りません。言語がない、あるいは言語を使わない被験者の知能を把握する事ができるのかという疑問が個人的なテーマとしてあります。ただ、現代社会は言語の使用を前提として作られているので、そこへの適応能力を測っていると考えれば妥当なのかもしれません。


Home備忘録ひとつまえにもどるひとつまえにもどる<<>>


(C)Therapie 2019-

inserted by FC2 system