知人が教員採用試験を受けると言いだしました。一応過去に教員採用試験に合格したので、相談に乗っています。自己分析等をお手伝いしています。キャリアカウンセラーか!
最近、町内会の絡みで金にならないカウンセリング類似行為をやっています。なんだか先月からそういう時期なようです。実習だと思って勉強するしかないか。なんだか意識高い人みたいだ。
という事で、「成長」について書こうと思いましたが、余暇があまりありませんでした。
福岡市中央区天神にあるイムズ(天神MMビル)というビルが2021年8月31日に閉館しました。明治生命険相互会社(現明治安田生命保険相互会社)と三菱地所株式会社が1989年4月12日に開業させた商業ビルで、三菱地所プロパティマネジメント株式会社(1988年から2017年までは株式会社イムズ、2017年から2021年4月までは三菱地所リテールマネジメント株式会社(参照))が管理しています。外観は黄金色のタイル張りで内部には地下2階から地上8階までの吹き抜けがあるという特徴的なビルで、福岡市中心部のランドマーク的な存在でした(参照)。
福岡市民に「情報文化の発信基地」として親しまれてきた施設だっただけに、新型コロナ禍(しかも緊急事態宣言下)の最中にも関わらず、閉館日には多くの市民が訪れたようです(参照)。
まだ開業して32年であり、古びた印象もなかったため、多くの市民にとって閉館は意外に思えました。折しも福岡市内唯一の遊園地にして博物館相当施設(1960(昭和35)年指定)であるかしいかえんが2021年12月30日に閉園する予定であり、市内唯一のアイススケート場であるパピオアイスアリーナが閉鎖を視野に6月末から休館中であり(福岡市が支援に前向きな姿勢を示したようです(参照)が)、都心に近い須崎公園は文化施設建設(参照)のために閉鎖されましたし、博多駅前のランドマークであった西日本シティ銀行本店も取り壊されましたし(参照)、日本銀行福岡支店も取り壊されましたし(参照)、福岡が福岡ではなくなっていく寂しさがあります。
このイムズ建て替えについては「市の再開発構想『天神ビッグバン』に乗る形で建て替えが決まり、32年の歴史を終えた(参照)」とか「天神ビッグバンにより2021年8月31日をもって閉館した(参照)」と書かれています。
しかしこの「天神ビッグバン主犯説」は必ずしも正確ではないのではと考えます。
元々福岡市都心部には都市計画法(1973)以前の古い建物が多かったようです。それらは新耐震基準(1981)以前に建てられたので耐震性が不足しています。建て替えた方が安全だと思われるようですが、容積率が超過していて建て替えるとビルが小さくなるため建て替えられないという問題があったようです。
そこで2008(平成20)年に福岡市は福岡市都心部機能更新誘導方策というものを出したようです(参照・参照・参照)。これは、「国際競争力・感染症対策(九州・アジア)、環境、魅力、安心安全、共働」等で評価して容積率を緩和するという仕組みだったようです。
2016年3月25日には「魅力あるデザイン性に優れたビルを福岡市が認定し、インセンティブを付与する制度」として天神ビッグバンボーナス(BBB)なるものが発表されました。これは、「低層部・公開空地も含めた デザイン性の?いビル」、「周辺ビルとの 連続性を意識した建物デザイン」、「まちに潤いを与える ?陰や花,?に映える緑化の推進」、「ユニバーサルデザイン への配慮」の認定要件を満たしたビルを優遇するものです(参照・参照・参照)。
そして2017年7月4日に大名小学校・消防署・青年センター跡地の航空法高さ制限が緩和され(参照)、2017年9月26日に天神地区の明治通り(貫線)沿いの制限が緩和されました(参照)。
こういった流れの中で2019年1月9日に三菱地所からイムズの営業終了が発表されました(参照)。その3ヶ月後の2021年3月29日に福岡市は天神MMビル、天神ツインビル、西日本渡辺ビルの地域の高さ制限緩和を発表し、イムズのある区画には約96m~92mのビルが建てられるようになりました(参照)。
天神ビッグバンがなければイムズは閉館しなかったのか。それは分かりません。ただ言えるのは天神地区のビルを建て替えたいという欲求があって天神ビッグバンという政策が生まれたのだろうということです。
イムズにしても先に建て替えたいという意志が表明された後に高さ制限が緩和されています。はじめにあったのは政策ではなく権利者の欲求なのだろうと考えます。
須崎公園の再整備もそうですし、市立青年センター(参照)の閉鎖も「もっと稼ぐ!」という福岡市役所の習性の現れなのだと考えています。天神ビッグバンもその流れなのは間違いないのでしょう。ですが市役所や市長だけの責任だとは思えません。
金融ビッグバンによって銀行支店が減り、明治通り沿いの元銀行支店ビルはそれまでと違う用途に使われるようになりました。ネットの普及や郊外型店舗の増加で商業施設の需要が減っていたとも聞きます。ビルを建て替えたい権利者達の希望がまずあったのだと考えるべきなのでしょう。
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先日、須崎公園の大木を守る会の方と話していて、須崎公園再整備の僕が感じる問題点についてまとめてみようと考えました。
今年6月の報道では、須崎公園にある397本(参照)の樹木を17本残して伐採するという話(参照)でした(樹木図・樹木図)。その後、残す樹木を92本に増やして理解を求め(参照)、更には600本の樹木を植える予定(参照)と報じられました。最終的には101本の樹木をそのまま残し、その他の樹木も基本的には園内優先で移植して残し、新しく植える樹木も含め700本超になると発表(参照)しました。
「拠点文化施設の整備にあわせ、須崎公園においては、既存の樹木の保存、移植に加え、新たな樹木も植えることで、合計 700 本を超える樹木が溢れる、これまで以上にみどり豊かな都市空間を創ってまいります(参照)」と説明していますが、「みどり豊かな都市空間」をつくるならいまあるものをいまある場所で活かすのが一番コストがかからないのです。わざわざ創らなくても既にそこにあるわけですから。
今まで木が伸びて根を張ったのをそのまま活かさないのは勿体ないなと思います。
そもそも「現在の須崎公園は、木があるため見通しが悪いという意見もあり、生育不良の樹木もある(参照)」と言っていながら「新しい公園にはサクラやクスノキなど、現在より多い高低600本の樹木を植える予定(参照)」とも言っていたので一体何がしたいのか分かりません。
ちなみに落札価格は税抜で208億7140万2038円(入札予定価格は209億7530万3000円)(参照)。大劇場(1269席)、中劇場(700席)、小劇場(約100~200席)と稽古場を有する北九州芸術劇場の建設費は約158億(劇場部分は約146)円(ただし区役所跡地の権利変換方式により取得したため北九州市はお金は払ってないようです)だそう(参照)なので、大ホール(約2,000席)、中ホール(約800席)、文化活動・交流ホール(約150席)に公園再整備まで含んだ(参照)落札価格としてはそれほど高くないのかもしれません。
全国的に見ても飛び抜けて高い感じはしません(参照・参照)が、高いのは高い。拠点文化施設の現地建て替えだけであれば、100億円台におさまっていたのではないかという感触です。
2020年6月23日の福岡市議会定例会ではこの拠点文化施設に関して「本市の条例案は、目的に、芸術文化の創造という文言、観点がなく、場を提供することに限定され、目指すところは、交流の促進、都市の魅力の向上、すなわちインバウンドの道具におとしめられてしまっております(参照)」と批判されています。
「インバウンドの道具におとしめられて」いるかは別にして、「芸術文化の創造」に寄与するのだろうかという疑問があります。例えば、古くは福岡出身のミュージシャンがアマチュア時代にその舞台に立ったと言われる須崎公園野外音楽堂。今でも地下アイドルの聖地とも言われるこのステージは廃止されてしまいます。
市議会ではその代替施設は設ける予定がなく、「今後拠点文化施設は、音楽の催し等にも利用できると聞いている」、「今後は、拠点文化施設及びその前の広場において、周辺に配慮しながらイベントが行われるものと考えている」とつれない答弁をされています。
また、市は「地元の町内会を中心とした会議の中で音楽イベントでの騒音が問題となり、平成16年4月以降音楽イベントの利用はない状況である」と答弁していますが、実際は音楽イベントを目撃したことがあります。市が把握していなかったということは無届けだったのかもしれませんが、実際の使用状況も分からないのに再整備を進めているのはおかしいのではないかと思います。
そして市によると、市内に野外音楽堂がある公園は、他にないそうです(参照)。
アマチュアや地下アイドル等の発表の場をなにも考えずになくしてしまうというのは、2016年3月31日に閉館した福岡市立青年センターと同じです。
福岡市の文化行政は、2012年4月1日に発足した経済観光文化局が担当しています。この局はそれまでの経済振興局に教育委員会から文化部門が移管されたもののようです。福岡市にとって文化は経済なのです。
そもそもこの問題が起きたのは、すべて決まってから地元への説明をしたためだと考えます。
そこではじめてそんなに木を切るのかと指摘され、市役所の職員や演劇関係者や学識経験者や工事関係者や市会議員には思いもよらない指摘をされたということなのでしょう。最初から議論を大々的に行い、オープンにしていれば良かったのではないかと感じます。
そもそもなぜ市民会館の現地建て替えをしないのか疑問です。基本計画には「施設利用者のアクセス向上のため,天神中心部に近い位置に配置(参照)」と書かれていますが、実際には現在市民会館を使っている人達が困るというのも理由のようです。
そういう団体がいくつあるのかは知りませんが、そのうちの一つが以前福岡市立少年科学文化会館ホール(764席)を年1回使っていた団体。現在市民会館大ホール(1770席)を使っているようですが、少年科学文化会館閉鎖時に拠点文化施設中ホール(参照)を代替にするという約束だったそうです。
市にとってそれが大きな理由なのかは分かりませんが、この団体は某野党と関わりが深いようです。少なくとも某野党にとっては重要なので反対論を封じる効果はあるのでしょう。
いずれにせよ、現地建て替えしない理由がすべて明らかになっていないように見えます。
福岡市拠点文化施設基本計画には、公園を水辺に移すことで「現市民会館敷地を水辺に開かれた公園として整備」すると書いています。しかし市議会では「水辺に関しては、事業者から水辺を眺めることができる芝生広場、レストランの設置などの提案を受けており、詳細については今後事業者と検討を進めていく(参照)」と言っており、「水辺を眺めることができる芝生広場」と「レストラン」ではなく、「水辺を眺めることができる芝生広場」と「水辺を眺めることができるレストラン」の提案で水辺に公園があるもののレストランになっていてお金を払わないと水辺に行けない水上公園状態になりそうで怖いです。
また、基本計画には「天神エリアと博多ふ頭・中央ふ頭エリアの回遊性を強化する動線」とありますが、車が走られるわけではないので徒歩だということでしょう。
しかし天神から博多埠頭まで歩く人はかなりレアだと思います。計画としてどうなのかと率直に感じます。
また、要求水準書のうち多くの企業グループの参入を断念させた部分が入札日2ヶ月前に課長決済で書き換えられ、変更に対応するための入札延期の要望も受け入れられず、結果として一者応札という事態になった疑惑(参照・参照・参照) (参照・参照・参照)も報じられています。
この疑惑についてはよく分かりませんが、様々な点で経緯が分からないことが散見します。そもそも8月3日に公園が立ち入り禁止になって囲われましたが、まだ工事が始まってないのも謎です。
先日、須崎公園の大木を守る会の方と久しぶりにお会いしました。大きな声では言えませんが、拠点文化施設の建物がダサいという話になりました。正確に言うと、ダサいというか普通で面白味がないという話です。
しかもやたら大きいので公園の樹木の存在感が稀薄になりそうですし、公園西側の住民にとっては圧迫感がありそうです。それに全面ガラスなので掃除を頻繁にしないと汚くなりそうですし、そもそも掃除しにくい感じがします。
隣の県立美術館のデザインとも調和している感じもしません。
ところが福岡市は、「本事業については、学識経験者等で構成する事業者検討委員会においてデザイン等は一定の評価を受けている。拠点文化施設のデザイン、須崎公園のランドスケープは、世界的なデザイン設計事務所を迎えて専門性の高い企業のサポート体制により設計業務を進めている。(参照)」と書いています。なんだか凄そうですが、協力企業には中国にも拠点を持つ戸田芳樹風景計画(横浜市中区)が入っているので、これが「世界的なデザイン設計事務所」ということなのでしょう。協力企業には他にも梓設計(東京都品川区)、俊設計(福岡市博多区)があるのでこの2社が「専門性の高い企業」なのでしょうか。
いくら世界的だろうが専門性高かろうが、200億円出して樹木や野外音楽堂を潰してまでつくるような面白い建物とは僕には感じられません。
まあ、できてしまえばそれなりにしっくりしそうな建物なのかもしれませんが、現時点では好きになれません(嫌いにもなれないとも言えますが)。
須崎公園の樹木は結局最終的に「都心部の貴重な緑地空間である須崎公園の再整備では、既存の樹木のうち 101 本の樹木を現在の場所でそのまま残すこととし、その他の樹木についても、基本的に移植により残す(参照)」ことになりました。17本→92本→101本と残す樹木が増えたのは、須崎公園の大木を守る会の方々の運動の成果であると思います。
加えて、「移植につきましては、専門家の意見も踏まえながら、改めて1本1本現地調査を行い、園内で移植できるものはそれを最優先とし、そうでないものも市内の別の緑地空間への移植を図ってまいります(参照)」と園内移植を優先しているのも成果でしょう。「倒木の恐れがあるなどやむを得ず残すことができないものにつきましては、施設内の家具や公園のベンチなどに形を変えて、残してまいります(参照)」というのに意味があるのか分かりませんが、配慮は感じます。
そして市は、「拠点文化施設の整備にあわせ、須崎公園においては、既存の樹木の保存、移植に加え、新たな樹木も植えることで、合計 700 本を超える樹木が溢れる、これまで以上にみどり豊かな都市空間を創ってまいります(参照)」と高らかに書いています。住民に言われるまでそんな事考えていなかったくせにとも思いますが、指摘を受けて考え直した事を示す決意表明でもあるのでしょう。
しかし、101本以外を本当に移植できるのでしょうか。市民会館を取り壊すまで木を保管しているうちに枯れたりしないのでしょうか。木を抜いてから「やむを得ず残すことができないもの」になってしまう樹木が大量に出て、公園に矢鱈とベンチができたりしないのでしょうか。
しかし本当にそれは守られるのか。工事現場はなぜか厳重に壁で囲われています。下衆の勘繰りだと何か良くないことをするのではないかと感じます。
少なくともきちんと見守っていく必要はありそうです。
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いつからか、「成長」について考えています。1993年7月の総選挙の際に某宗教団体の人と議論した記憶があるので、少なくとも大学生時代から「成長」への疑問はあったのでしょう。
いや、多分、恐らく、小学校高学年くらいから僕は「成長」を信じていませんでした。「成長」なんて、エライ人の理想像にいかに近づいたかに過ぎないのだと醒めた目で見ていたように思います。
そんな自分が教員をやったのがそもそもの間違いなのでしょうし、障害者福祉に携わっているのも或いは誤っているのかもしれません。
あまりそんなことを考えていると鬱になるので、とりあえず忘れます。
慶応義塾大学名誉教授でパソナグループ会長らしい竹中平蔵さん(1951.3.3-)が、「日本は成長機会を全部逃した(参照)」と発言したとかで、SNS上などで「お前が言うな。」と批判されていました。竹中さんは日本を貧困に陥れた(参照)とか自民党から金を巻き上げる天才(参照)とか矢鱈と非難されている人です(記事は読んでいないので詳細不明)。
どうやら小泉内閣での2004年の派遣法改定により「派遣労働者が2000年の約33万人から2008年には約140万人に増加し、大量の非正規雇用者を生み出し、格差が拡大し(参照)」たとされる際に関わっていたからそう言われているようです。
尤も、「悪夢の民主党政権論」で言うと非正規労働者が増えたのは民主党政権時代である(ご本人の書くようにバブル崩壊辺りから増えているわけですが)ようです(参照)。
閑話休題。冒頭の記事とその反応を読んで「成長」の意味がまた分からなくなりました。お互いの「成長」の定義が異なっているのに異なってないものだと信じ込んで話している感じです。言葉が通じ合わない時代になったと私たちは理解しないといけないのでしょう。
2021年9月15日付の西日本新聞朝刊に、最期まで「公を壊す者」と闘い続けたジャーナリスト 学兄内橋克人を悼む という9月1日に亡くなった内橋克人さんの追悼文が出ていました。佐高信さんの書いたものです。
その中に、「ちょっと手前味噌だが、経済論もしくは企業論の系譜として、城山(三郎)-内橋(克人)-私(佐高信)という流れがあり、それと逆の系譜に、長谷川慶太郎-堺屋太一-竹中平蔵という流れがあると私は言ってきた」という一節がありました。マジ手前味噌やし。
その系譜というのがどういうものかというと、「私たちは非正規労働などをなくして個人消費を拡大することが経済の好循環を招くと考えるのに対して、長谷川から竹中までは、とにかく会社を富ませればうまくいくと考える」とのことです。両者がどうなのか分かりませんが、確かにそういった違いのあるグループがあるのかもしれません(佐高信 (2021) 最期まで「公を壊す者」と闘い続けたジャーナリスト 学兄内橋克人を悼む 2021年9月15日付西日本新聞)。
それでは竹中さんの「成長機会を全部逃した」というのはどういうことかというと、「世界最大の成長産業は『ライドシェア』産業です。日本ではいまでも認められていない。米国はウーバー・テクノロジーズ、中国では配車アプリ最大手の滴滴出行(ディディチューシン)、シンガポールでは東南アジアの配車サービス最大手グラブなどの新しい企業が出てくるなか、日本は成長機会を全部逃してしまったのです(参照)」ということらしいです。
しかしそういった業態は、往々にして働く人々が不利な状況に置かれていると指摘されています(参照)。なるほど確かに「とにかく会社を富ませればうまくいくと考える」人なのかもしれないと思ってしまいます。
ですが竹中さんは、「ステークホルダー資本主義で求められているのは、株主に利益を還元してください、従業員にしっかり給料を支払い、地域にも地球環境にも貢献してください、ということです(参照)」、「日本企業は低い利益率を高くして、株主と従業員に報いる必要がある。これは両方ともやらなくてはいけない(参照)」とも書いています。どうもそうとばかりは言えないのかもしれないと思えなくもなくもありません。
ただ、従業員に派遣労働者は含まれているのかは不明です。昔の炭鉱ではホワイトカラーだけが社員でしたから、そういう考え方もあるわけです。
いずれにせよ、「日本の成長」と一言で言っても中身が何なのかは分かりません。「成長」させるか否かも議論の対象でしょうが、どのような「成長」を目指すのかも議論の対象なのでしょう。
どの意見にも理由があり間違いはないのでしょうが、せめて別の意見もあることは認めあって議論をし、合意形成を図っていただきたいと思います。
心理学には様々な発達理論があります。成長を測ると言えば知能検査ですが、知能検査の創案者であるビネー(Alfred Binet,1857.7.8-1911.10.18)は「各年齢群の児童の50-70%が正解できる項目をその年齢の標準問題として(参照)」その問題を解けるか否かで知能の水準が測れるのではないかと考えました。できなかったことができるようになる。それが成長だという考え方もあるでしょう。
ですから昔の発達理論は、人生の最初の方だけ考えていました。ピアジェ(Jean Piaget, 1896.8.9-1980.9.16)の認知発達理論(cognitive developmental theory)は抽象的思考ができるようになる形式的操作期(12歳頃から)がゴールでした。ヴィゴツキー(Lev Semenovich Vygotsky,1896.11.17-1934.6.11)の発達の最近接領域(Zone of Proximal Development:ZPD)なんてのも児童期の研究ですし、フロイト(Sigmund Freud,1856.5.6-1939.9.23)の心理性的発達理論(Psychosexual development)では性器期(思春期、青年期)がゴール。セルマン(Robert L. Selman,1942.5.7-)の視点取得理論(Perspective taking theory・役割取得(role taking))も象徴的役割取得(12歳~大人)で完成です。マズロー(Abraham Harold Maslow,1908.4.1-1970.6.8)の自己実現理論(欲求階層説)なんかも恐らくシブい大人になった辺りで完全なる人間になるのでしょう。
みんな大人がゴールなのは、産まれて乳児期幼児期児童期思春期青年期と「成長」して成人し、あとは下り坂か良くて現状維持だという考えだからでしょう。
一方で人は死ぬまで発達するという生涯発達という考え方もあります。ユング(Carl Gustav Jung,1875.7.26-1961.6.6)のライフサイクル理論をはじめとして、エリクソン(Erik Homburger Erikson,1902.6.15-1994.5.12)の心理社会的発達理論(psychosocial development)やレビンソン(Daniel J. Levinson,1920.5.28-1994.4.12)の生活構造論的発達理論やハヴィガースト(Robert James Havighurst,1900-1991)の発達課題やスーパー(Donald.E.Super,1910-1994)のキャリア発達理論等は生涯発達の視点に立つものだと考えます。
これらの考え方では、人生のそれぞれの段階やステージで解決すべき課題等が示されます。単純に、「できなかったことができるようになる」といった一方通行なものではありません。
そういった課題は時代と共に移り変わったりするのでしょう。ですから古臭くなってしまう場合もあります。
しかし、「発達」が一方通行でないという考え方は前段までの「成長」にも当てはまるのではないかと僕は思うのです。
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9月19日に第4回公認心理師試験が行われました。
今回は同じ法人の知人が受験したようです。彼女は石北会(意識高い)相談支援専門員ですが、相談支援界隈では公認心理師受験クラスターが発生している模様。石北会員が多いようで、自己啓発の一環のようです。
他にも支援員のクラスターも発生していて、うち一人は同じ部署でお世話になった方で来年受験予定です。勉強に協力しているのですが、一発合格を目指さないといけないのでなかなか苦しそうです。現任者講習受ける前に言えば止めたのに(^_^;)
今、公認心理師制度ができるまでの経緯を調べています(参照)。紆余曲折があってやっと実現した心理学関係者の悲願がお手軽に挑戦されているのも忸怩たる思いがしますが、関係者も今ではお金を稼げればいいのかもしれないので何も言いません。
試験当日にはいち早く和光大学青年心理学研究室が予想解答(参照)を公開し、IPSA心理学大学院予備校もそのすぐ後に公開しました(参照)(参照)。
翌日にはプロロゴスも予想解答(参照・参照)を公開し、さらにその翌日に第二版(参照)を公開しました。
プロロゴスは過去に解答入力結果分析(参照)も出しているので今回も出すかもしれません。
22日にはファイブアカデミーも解答速報(参照)を公開したようですが、こちらは登録制です。
9月27日からは辰已法律研究所も予想解答を公開しましたがこちらも登録制です(参照)。
LEC東京リーガルマインド講師 えいめい教育研究所(心理・メンタルヘルス部門)代表兼主任心理士の神戸威行さんという方も20日(参照)と21日(参照)に予想解答を出しています。
LECは第2回(参照)と第3回(参照)に講評も出していますが、今回分は出したのか分かりませんでした。
一方で、河合塾kalsは試験の分析速報(参照)を出しています。
河合塾の分析は毎回評価が高く、来年度受験を考えている方は読んだ方が良いかもしれません(参照・参照・参照・参照・参照)。
今回の第4回公認心理師試験の大きな特徴は、いわゆるGルートのためのいわゆる現任者講習にリモート研修が導入されたという所です。2019(平成1)年に現任者講習会を受講した人は約9,000人だったと推計される(参照)ようですが、2020(令和2)年度の現任者講習会の定員の総計は約17,000人なのだそうです(参照)。これはリモート導入によるものでしょう。
2019年8月4日に行われた第2回試験でのGルート受験者は推計で11,311人。2020年12月20日に行われた第3回試験でのGルート受験者は10,406人(参照)。微減していましたが、第4回は暴増している可能性があるわけです。
僕の周りでも冒頭の公認心理師受験クラスターが発生していて、公認心理師が一気にメジャーになった感があります。
2019(令和1)年度の現任者講習は約9000人受けたそうです(参照)が、2020(令和2)年度の現任者講習会の定員合計は約17,000人(参照)だそうです。倍に迫る勢いです。
ちなみに今年2021(令和3)年度の現任者講習の定員は26,281人(参照)のようですから更に増えています。一発勝負なのに勇気があるなと思いますが、「今だけ!」と言われるとついつい受けてしまうのかもしれません。
合格率が低いGルートが増えたことで合格率が下がる可能性もありますが、Twitter等での反応を見ると合格した人が目立ちます。Gルート受験者の数と合格率がどうなるのか気になるところです。
そのヒントになりそうなのが、試験会場です。Twitterを見ていると北海道文教大学、日本大学、東京流通センター、関西大学、大和大学、福岡大学等が会場だったようです。(参照)。東京流通センターは第1回にも使われたので受験者が多いのかもしれません。
調べてみると、北海道は北海道文教大学。宮城県は北杜学園本館、2号館、3号館。東京都は日本大学法学部、経済学部、文理学部、東京流通センター第1展示場、第2展示場、TOC有明、タイム24ビル。愛知県は愛知大学名古屋キャンパス、ささしまライブ。大阪府は大和大学大阪吹田キャンパス、関西大学千里山キャンパス第1学舎、第3学舎。岡山県はコンペックス岡山大展示場。福岡県は九州産業大学8号館、12号館、福岡大学8号館のようです。東京が結構増えてる気がしますが、地方も増えてそうな所があるようです。
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